2020/08/01

教室便り8月号

教室便り


< はじめに >

こんにちは、尾山です。

長かった梅雨もそろそろと明けたようで、今日は夏まっさかりの天気となりました。

たとえ暑い日であっても、お風呂で汗を流してサッパリし、すやすや健やかに眠り、そしてスッキリ快適に目覚めたいものです。

しかし暑苦しくて快眠できず、疲れが抜けない人も少なくないのが現状でしょう。

いくら冷房に頼っても、体内に熱気が閉じ込められていては、朝起きたときにスッキリとはならないと考えられます。

ですから、冷たいものを飲食して身体を冷やすことに偏らず、熱いものや辛いものをとり、体内の熱気を発散してあげることも大切と言えます。

疲れやすい夏ですが、上手に乗り切っていきましょう。


< 8月のスケジュール >

  • 3日(月)、10日(月)の午後クラスはお休みです。
  • 6日(木)、7日(金)、10日(月)、13日(木)、14日(金)の早朝クラスはお休みです。

●スケジュール
https://oyama.yoga-space.biz/index.php?go=9bDu7f


< アーユルヴェーダにおける睡眠 >

今月は、インドの伝統医学であるアーユルヴェーダにおける睡眠について『アーユルヴェーダ 日常と季節の過ごし方』より抜粋してご紹介します。

●睡眠の影響
幸福、不幸、成長、体重減少、体力増大、体力減少は睡眠の支配下にあり、精力増大、精力減退、有知、無知、生存、死も睡眠によって支配されている。
ー『アシュターンガ・フリダヤ』総論第7章

●午睡の方法と禁忌
夏は「体内の運動力」が蓄積し、太陽の勢いが強く乾燥が著しい。夜が短くなる傾向にあるので、日中睡眠をとることは有益である。
ー『アシュターンガ・フリダヤ』総論第6章

夏は太陽の力が強くなり、空気が乾燥し、「体内の運動力」が増大する時期である。夜が大変短くなるので、日中眠ることが最適である。
夏を除く他の季節に日中睡眠をとれば、冷性により「体内の結合力」が増大するため、これらの時期での午睡は有益ではない。
ー『チャラカ・サンヒター』総論第21章

午睡は、夏季を除いてすべきではない。午睡により冷たさが「体内の結合力」を増大するからである。
ー『ニガントゥ・ラトナーカラ』1巻

●午睡による害
日中睡眠することにより貧血性、頭痛、臆病、身体の重感、筋肉痛、消化力の弱下、心臓部に何かを貼り付けた感じが起こる。
浮腫、食欲不振、嘔吐の前兆、鼻風邪、偏頭痛、紅斑、頭部の小湿疹、全身性湿疹、痒み、催眠状態、咳、喉頭疾患、記憶喪失、知力破壊、身体内菅の閉塞、発熱、感覚器官の不活発、毒物の勢いが強まるなどの障害が午睡により生ずる。
ー『チャラカ・サンヒター』総論21章

午睡は以上な状態であり、これにより不誠実心を生じ、すべての体内力(運動力、変換力、結合力)を増大する。3つの体内力増大により、喘息、風邪、頭重感、全身の筋肉痛、食欲不振、発熱、消化力の減退を生じる。
ー『スシュルタ・サンヒター』身体4章

●睡眠のとり方
夕方、軽い有益な食事を摂取したのち、バランスの取れた良好な精神状態を保ち、身体を清潔にし、生命を支配するものを思い起こし、その後、蚊帳をつった自分の寝床のなかに入りなさい。
睡眠する場所は清潔で、ゴミや物品が散財しておらず、2、3人の召使が控えており、衣類、シーツは清潔で十分長く、同じ方向に平等に敷き、気持ち良さを与えるものがよい。
寝床の高さは膝の高さであり、適度の柔らかさがあり、清潔でなければならない。頭は東または南の方角に置き、足は師の方向に向けてはならない。
眠る前と目覚めたときには、神のみを何度も想い出しなさい。月光の冷たさが房事に喜びを与え、口渇、熱感を取り除く。
ー『アシュターンガ・サングラハ』総論3章

●過眠傾向に対する治療
過眠は、不消化部分が多くあることにより、体内の結合力が身体内管を覆うため管が塞がれ、身体の重感が生ずる。身体の重感により怠惰が、怠惰により過剰な眠気が生じる。
胴体の催排泄法(下剤)、頭部の催クシャミ法、催吐法、瀉血(血を抜く)、喫煙法、空腹、口渇、チクチクする痛み、喜び、悲しみ、激しい怒り、心配、熱望、寝心地の悪い寝床、純粋質精神および寛容が暗黒(過眠)を打ち負かす。
ー『アシュターンガ・サングラハ』総論9章

●不眠の原因
催排泄法、催クシャミ法、催吐法、恐怖、心配、怒り、喫煙、(過度な)運動、瀉血により不眠が生ずる。
絶食、不快な寝床、純粋質精神の高揚、停滞質精神の打倒は、睡眠に不益で、睡眠期間を短縮する原因となる。
上記の要素の他に、不眠の原因は体の活動状況、年齢、疾病、性格、「体内の運動力」であることを知っておくべきである。
ー『チャラカ・サンヒター』総論21章

●不眠の治療
睡眠がほとんどとれない人には、牛乳、酒、肉汁などのスープ、ヨーグルトの摂取、オイルマッサージ、香料塗布、頭に油を塗布、耳に油を滴下、ギーによる眼浴、性行為、心配のない幸福な人生、自分の好みにあった食べもの、香水、音楽、見るものの活用は、心地よい睡眠を与えるものである。
禁欲主義に徹している人、房事に成功した人、何であれ、自分の得たものに満足を示す人に、睡眠はその適切な時間にそれをさまたげることはないのである。すなわち就寝時間になれば、自然に眠りが訪れるのである。
ー『アシュターンガ・フリダヤ』総論7章

ということで、

夏場は身体の疲れを回復するためにも、お昼寝をしてみるのも良いかもしれません。何にしても、睡眠と覚醒のバランスをとることが、自律神経のバランスをとることになり、心身を心地よい状態に保ってくれることでしょう。


< おわりに >

先月に引き続き、バガヴァッド・ギーターの翻訳を続けています。

第6章では、眠りすぎと眠り足りないことに加え、食べすぎと食べ足りないこと、動きすぎと動き足りないことは、ヨガ修行を妨げる要因であると説かれています。

もちろんこれはヨガ修行に限ったことではなく、「過不足」は日常生活に悪影響、悪循環をもたらす大きな要因です。何事もバランスが大切です。

● バガヴァッドギーター:至高者の詩
https://yoga-space.biz/index.php?go=LTt7NG

以上です。

それでは、8月もよろしくお願いいたします。

尾山 広平